第1章：なぜ不動産選びで失敗するのか？

不動産は一度購入すると簡単には手放せない「人生で最も大きな買い物」のひとつです。にもかかわらず、購入後に「こんなはずじゃなかった…」と後悔してしまう人が少なくありません。その多くは、知識不足や安易な判断、そして業者への依存が原因です。ここでは、不動産選びでよくある失敗例の情報不足と感情判断の危険性や業者に丸投げをするリスクを記載します。

1. 情報不足による判断ミス

不動産は立地、環境、価格、将来の資産価値など多くの要素で評価されます。ところが、購入者の多くは「内覧での第一印象」や「広告に書かれたセールスポイント」だけで決めてしまう傾向があります。

例：日当たりが良いと思って購入したが、実際は隣の建物が建設されて将来は光が入らなくなる可能性を考えていなかった。
例：通勤アクセスを重視したが、休日の生活環境（買い物や子育て施設）が不便で生活に支障が出た。

ポイント：事前に役所で都市計画や用途地域を確認し、将来的な街の変化も想定して情報を集めることが重要です。

2. 感情に流されての購入

内覧時に「新築で綺麗」「眺望が良い」といった要素に惹かれて即決するケースがあります。しかし、冷静に見れば価格が相場より高かったり、維持費がかかりすぎたりすることも。

例：モデルルームの演出に魅了されて購入したが、実際の部屋は家具や照明がないため狭く感じた。
例：ローン返済額だけを見て「払えそう」と判断したが、管理費や修繕積立金の負担が大きく生活を圧迫した。

ポイント：感情に左右されず、必ず複数物件を比較検討する姿勢が欠かせません。

3. 業者に「丸投げ」するリスク

「プロに任せれば安心」と思い、仲介業者やハウスメーカーにすべて任せてしまう人がいます。しかし、業者の目的は必ずしも「購入者の幸せ」ではなく「契約成立による利益」であることも多いのです。

例：業者のすすめる住宅ローンをそのまま契約した結果、金利の高いプランを選ばされていた。
例：売主の事情で早く売りたい物件を強くすすめられ、冷静な判断ができなかった。

ポイント：業者はあくまで「情報提供者」であり、最終判断は自分自身が下すもの。複数業者に相談し、情報を比較する習慣がリスク回避につながります。

4. 目先の価格だけで決める

「予算内だから」「安いから」という理由で選ぶのも失敗の典型例です。購入時は安くても、維持費や修繕費がかかりすぎて結果的に割高になるケースもあります。

例：築年数の古いマンションを安く購入したが、大規模修繕や建替えの議論が迫っており、数百万円単位の負担が必要になった。
例：土地が安い郊外を選んだが、交通費や生活コストが増え、結局は都心の物件と同じくらいの負担になった。

ポイント：購入時の価格だけでなく「総コスト（ローン＋維持費＋将来の修繕）」で考えることが大切です。

5. 将来のライフプランを考えない

不動産は「今」だけではなく「10年後、20年後」の生活に影響します。家族構成やライフスタイルの変化を無視すると、せっかくの家が住みにくいものになってしまいます。