第3章:物件選びのポイントとチェックリスト ・建物:築年数・構造・管理状況

🏠 不動産購入時に見るべき建物のポイント

不動産購入の際、「立地」と並んで重要なのが建物の状態と管理状況です。
同じ価格帯でも、築年数・構造・管理状態の違いによって、安全性・快適性・資産価値の持続性が大きく変わります。

以下で、「築年数」「構造」「管理状況」の3つの観点から詳しく解説します。


① 築年数:建物の劣化・価値・ローン条件に関係

■ 概要

築年数とは、建物が建てられてからの経過年数のこと。
建物は年月とともに劣化するため、耐久性・修繕費・資産価値に直結します。

■ 築年数の影響ポイント

  • 建物の劣化状況
     → 配管・外壁・屋根・給湯器・防水などの寿命に関わる
  • リフォームの必要性
     → 築15〜20年を過ぎると、大規模修繕や水回り交換の可能性が高い
  • 資産価値の推移
     → 新築から築20年程度までは下落が大きく、その後は緩やかに推移
  • 住宅ローン・減税への影響
     → 築年数によっては「住宅ローン控除」や「耐震要件」の対象外となる場合もある

■ 目安の見方

築年数状況の目安チェックポイント
新築〜5年設備が新しく修繕不要建築会社・仕様の信頼性
5〜15年一部補修の時期給湯器・外壁・屋根の点検
15〜25年修繕期リフォーム費用を見込む
25年以上建替え・耐震補強検討構造・基礎・配管の劣化確認

📌 ポイント
築年数だけでなく、「修繕履歴の有無」「建物の手入れ状態」を重視することが大切です。


② 構造:安全性・耐震性・遮音性に関係

■ 概要

建物構造は、「どんな素材と工法で建てられているか」を示すもので、
耐久性・耐震性・快適性・メンテナンス性に直結します。

■ 主な構造タイプと特徴

構造種別主な用途特徴
木造(W造)戸建て・小規模アパート通気性が良くコストが低いが、耐久性はやや劣る。断熱性・リフォーム性に優れる。
鉄骨造(S造)中層マンション・商業ビル強度が高く大空間を確保しやすい。サビ・断熱性への配慮が必要。
鉄筋コンクリート造(RC造)中〜高層マンション耐震・耐火・遮音性に優れるが、建築コスト・修繕費が高め。
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)高層マンションRC造より強度が高く、耐震性も良好。重量構造のため、維持費がやや高い。

■ 構造別のチェックポイント

  • 耐震基準
     → 1981年(昭和56年)以降に建築確認を受けた建物は「新耐震基準」。
      それ以前のものは耐震補強済みか確認。
  • 遮音性・断熱性
     → RC造は上下階の音が伝わりにくい。木造は断熱性能が高いが音が響きやすい。
  • メンテナンス性
     → 木造はリフォームしやすい。RC造は配管交換などに手間がかかる。

📌 ポイント
構造は「住み心地+安全性+資産価値」を支える骨格。
特に地震が多い日本では、耐震性能・施工品質・施工会社の実績を確認しましょう。


③ 管理状況:建物の寿命と資産価値を左右する

■ 概要

管理状況とは、「建物がどれだけ適切に維持されているか」という視点。
これは特にマンション購入時の最重要項目のひとつです。
戸建てでも、前所有者がどの程度手入れしてきたかで状態が大きく変わります。

■ 管理が良い建物の特徴

  • 定期的に清掃・点検・修繕が行われている
  • 管理組合が機能している(総会・会計報告が明確)
  • 管理費・修繕積立金が適正に運用されている
  • 外壁や共用部分が清潔・劣化が少ない

■ 管理が悪い建物のリスク

  • 外壁・廊下・エントランスに劣化やゴミ放置
  • 修繕積立金が不足 → 将来的な大規模修繕が困難
  • 管理組合が機能していない → 建物価値の下落
  • 居住者トラブル(騒音・ルール違反)の増加

■ チェックポイント(マンションの場合)

  • 管理形態(自主管理・委託管理・常駐管理など)
  • 修繕積立金の残高と将来計画
  • 管理規約の内容(ペット・リフォーム可否など)
  • 共用部の清掃状態・掲示板の整頓具合

📌 ポイント
同じ築年数でも、管理の良し悪しで建物の寿命・価値は大きく違う
見た目が綺麗な中古マンションは、管理が良い証拠です。


🧭 まとめ:建物を見るときの3本柱

観点意味・影響主なチェックポイント
築年数建物の劣化・修繕時期・ローン条件に影響修繕履歴・リフォーム費用・耐震基準
構造安全性・遮音性・快適性を左右耐震性能・施工会社・断熱・防音性
管理状況長期的な価値維持・住環境の安定管理組合・修繕積立金・清掃状態

「立地が資産価値を決め、建物がその価値を支える」
—— これが不動産選びの本質です。