🏠 生前贈与で不動産を渡すときの税金のポイント|節税になる?損する?徹底解説
親から子へ、早めに不動産を渡したい──
相続トラブルの回避や節税対策として、「生前贈与」を選ぶご家庭が増えています。
しかし、不動産の贈与は相続とはまったく別の税金ルールが適用され、
何も知らずに贈与してしまうと数百万円単位で税負担が増えることも。
この記事では、
生前贈与で不動産を渡すときに絶対に知っておくべき税金ポイントを、具体例を交えてわかりやすく解説します。
🔍 1. 生前贈与とは?まず押さえたい基本ルール
生前贈与とは、
「生きているうちに財産を渡す(贈与する)」こと。
不動産を贈与すると、基本的には
贈与税+登録免許税+不動産取得税+司法書士費用などのコストが発生します。
特に注意したいのは、
贈与税は相続税よりも税率が高いという点です。
💰 2. 贈与税が高い理由とは?
贈与税は「富の移転を抑制するため」に、相続税より高く設定されています。
▼ 贈与税の速算表(一部抜粋)
| 贈与金額(基礎控除後) | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 10% | 0円 |
| 400万円以下 | 15% | 10万円 |
| 600万円以下 | 20% | 30万円 |
| 1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
| 1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
不動産は評価額が高いため、基礎控除110万円を使っても高額な税金になることが多いです。
🏠 3. 不動産を贈与する場合の税金ポイント
① 不動産の評価額=相続税評価額を使う
市場価格ではなく
**相続税評価額(固定資産税評価額・路線価など)**を基準に贈与税を計算します。
例:固定資産税評価額1,500万円の家を贈与
→ 贈与税計算対象額は1,500万円
これだけでも、基礎控除110万円を引いた
1,390万円に贈与税がかかるため、相当な税額になります。
② 贈与税以外にかかる税金・費用
| 負担 | 内容 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 不動産取得税 | 取得時に課税される | 評価額の3% |
| 登録免許税(所有権移転) | 登録のため | 原則2% |
| 司法書士費用 | 登記手続き | 5万〜15万円 |
相続ではかからない費用も、贈与ではかかります。
📘 4. 節税できるケースは?3つの主要制度
不動産の生前贈与でも、条件次第で税金を抑えられます。
① 相続時精算課税制度(2,500万円まで非課税)
- 親 → 子(または孫)への贈与で利用可能
- 累計2,500万円まで贈与税ゼロ
- 将来相続時に“合算して課税”
ただし注意点も多く、いったん選ぶと
贈与税の基礎控除110万円が一生使えなくなるというデメリットがあります。
② 配偶者への贈与は「2,000万円控除」
夫婦間の不動産贈与は特別。
一定の条件で、
2,000万円まで贈与税がかからない制度があります。
| 例
評価額 2,000万円の自宅 → 妻へ贈与
→ 贈与税ゼロ
→ 相続対策として非常に有効
ただし「婚姻期間20年以上」「現在住んでいる居住用不動産」などの条件があります。
③ 小規模不動産(評価額が低い土地)を贈与する場合
固定資産税評価額が低い
地方の土地などは、贈与税が比較的抑えられます。
📌 5. 生前贈与をするときの注意ポイント
1. 贈与契約書を作る
口頭だけでは後々トラブルの原因。
簡易な契約書でもOK。
2. 「名義だけ変更」はNG(名義預金問題)
実質的な贈与が成立していないと、
税務署に否認されて相続税として課税されます。
3. 不動産の名義変更費用が高い
贈与は相続よりコストがかかる点に注意。
4. 毎年贈与するときは110万円超に注意
「分割して少しずつ贈与」が有効な場合もありますが、
計画的に行うことが大切です。
🧮 6. 【具体例】不動産1,500万円を子に贈与した場合の税額
▼ 評価額:1,500万円
基礎控除:110万円
課税対象額:1,390万円
贈与税(1,500万円未満の帯)
→ 税率40%/控除額190万円
→ 税額 366万円
これに登記費用や不動産取得税を含めると
総額400~450万円以上になることも。
🧭 7. 生前贈与は「相続税が高くなりそうな家庭」で効果を発揮
以下のケースは、生前贈与が特に有効です。
- 財産総額が相続税の基礎控除を大きく超える
- 相続人が多く、分割トラブルを防ぎたい
- 資産を早めに移しておきたい
- 特定の子に家を相続させたい
逆に、
相続税がかからない家庭では、贈与すると逆に損になることもあります。
📝 まとめ:生前贈与は節税にも負担増にもなる。まずは計算が大切
生前贈与は魅力的ですが、
不動産は評価額が大きいため、無計画に行うと
税負担が想像以上に大きくなることがあります。
✔ 要点まとめ
- 不動産の贈与は贈与税が高額
- 贈与税以外に取得税・登録免許税もかかる
- 相続時精算課税や配偶者控除で非課税にできる場合も
- 相続税対策になる一方、税金が増えるリスクもある
生前贈与は「個別計算」が非常に重要です。