長期保有で得する!譲渡所得税の仕組みと節税のコツについて。 不動産を売却して利益が出た場合、その利益に対して課される税金が「譲渡所得税」です。この税率は所有期間によって大きく変わるので、売却の際には注意が必要です。今回はそんな譲渡所得について具体例を用いて説明します。

💰 短期譲渡所得と長期譲渡所得の違いとは?

🔸 そもそも「譲渡所得」とは?

不動産を売却して利益が出た場合、その利益(=売却益)に対して課される税金が「譲渡所得税」です。
譲渡所得の金額は以下の式で求められます:

譲渡所得 = 譲渡価格(売却額) −(取得費 + 譲渡費用)

この「譲渡所得」にかかる税率は、所有期間によって大きく変わります。
それが「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」です。


🕒 所有期間で区分する

区分所有期間税率(所得税+住民税)
短期譲渡所得5年以下約39.63%(所得税30%+住民税9%+復興特別所得税0.63%)
長期譲渡所得5年超約20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)

📘 ポイント:

  • 「所有期間」は、売った年の1月1日時点で5年を超えているかどうかで判定します。
  • 買った日から売却日までが5年と1ヶ月でも、1月1日時点で5年を超えていなければ短期扱いになります。

🏠 具体例で見てみよう

例①:短期譲渡所得の場合

  • 2020年6月:不動産を購入(取得価格 3,000万円)
  • 2024年7月:不動産を売却(売却価格 4,000万円)
  • 売却費用(仲介手数料など)100万円

所有期間は「2025年1月1日時点」で 4年半短期譲渡 です。

譲渡所得は:

4,000万円 −(3,000万円 + 100万円)= 900万円

税金:

900万円 × 約39.63% ≒ 約356万円

👉 実際の利益の約4割が税金になります。


例②:長期譲渡所得の場合

  • 2018年6月:不動産を購入(取得価格 3,000万円)
  • 2024年7月:不動産を売却(売却価格 4,000万円)
  • 売却費用 100万円

所有期間は「2025年1月1日時点」で 6年半長期譲渡 です。

譲渡所得は:

4,000万円 −(3,000万円 + 100万円)= 900万円

税金:

900万円 × 約20.315% ≒ 約183万円

👉 同じ利益でも、長期保有なら税金が約半分に!


📉 節税のポイント

  1. 売却時期をずらすだけで大きな差が出る!
     5年を数ヶ月オーバーするだけで、税率が約半分に。
     → 売却タイミングの見直しは重要です。
  2. 「所有期間」は登記日ではなく、引渡日ベースでカウント
     購入時・売却時どちらも「引渡し日」が基準です。契約日ではない点に注意。
  3. マイホーム特例の併用も可能
     マイホーム(居住用財産)の場合、
     → 最大3,000万円の特別控除
     → 長期譲渡なら軽減税率(14.21%)
     などの優遇措置もあります。

⚠️ 注意点

  • 相続や贈与で取得した場合は、前所有者の取得時期を引き継ぎます。
     → そのため、相続で受け継いだ土地をすぐ売っても、長期譲渡になるケースあり。
  • **不動産業者(事業として転売している場合)**は、譲渡所得ではなく事業所得扱いになります。

🧭 まとめ

項目短期譲渡所得長期譲渡所得
所有期間5年以下5年超
税率約39.63%約20.315%
税金の重さ高い低い
節税対策売却時期の調整が有効安定した長期保有で有利